(ご質問)やっぱりお墓は日本の風土に合った国産の石に限ると、とある石材店の人が言っていました。本当ですか?
(ご回答)海外産の石材が国産の石材と比べて一般的に品質が劣ると言うのであれば、それは言い過ぎです。科学的根拠がありません。高額商品をお勧めするだけの「単なる営業トーク」のような気がします。産地がどこであれ、その土地の風土にあった石材を選べば良いだけだと思います。なぜなら、石材は人工物ではなく天然のものであるので、国産だから、外国産だからという区別は品質の議論ではなく、ブランド価値の問題です。なお、日本の石を日本人が生産加工する いわゆる「純国産」と呼ばれる石製品もあります。
(解説)国産の石は総じて外国産の石材よりも価格が高い傾向があります。値段が高いのは、採掘場(丁場(ちょうば)という)から石を採掘する人件費などの経費が、外国産の石に比べて高いこと、年々いい石が採れなくなってきたことにより割高になってきております。長い石、大きい石が採れないと、墓石を生産するのに難しくなってきます。香川県で採掘される「庵治石(あじいし)」は日本で最高に値段が高い石です。インドの最高級の黒から比べても約5倍します。畳二枚の墓地に庵治石細目特級品で、普通に作っても1千万円~1千5百万円くらいの販売価格になります。実際には茨城県の真壁石(まかべいし)のように比較的安価な国産の石もありますが、実は、日本で採掘された真壁石をそのまま中国に輸出し、加工後、逆輸入するといったことで価格を安くしているのが現状です。それだけ、中国人の人件費はいまだに安いということにもなります。庵治石のケースは、ヒビが多く良い石があまりに採れないため、輸出しようにも輸出できないともいわれていますし、地元組合で輸出を禁止し国内で加工しているだけなので、販売価格が高くなるともいわれております。(庵治石は科学的にみて品質は確かに高いのですが、科学的数値以上の価値で取引されているところからも、ブランド価値が極めて高いといえます。)
庵治石は別としても、国産といいながら、実は「メイド・イン・チャイナ」の墓石が「国産」と称して売られているのが現状なのです。(なお、インド産といいながら、他社のインド産の墓石は実はインドから中国に輸出した石を中国で加工し、日本へ出荷した製品です。)
国産の石は日本の風土に合っていて品質が高いのだ、との意見もありますが、科学的な根拠は?という感じです。国産とかインド産とかいうところの「国境」は人間が決めたものであって、「石に国境はない」と思えば、国産だから良い、外国産は悪い、とはいえません。石は自然が産み出したものだからです。
なお、墓相墓といわれるような風水を重視した墓石を建立する方は、日本産出の石での建立を希望される方が多いです。